リスニングテストと実際の会話の違い

リスニングテストと実際の会話の違い

リスニングテスト、難しいですよね。
僕は中学、高校の英語の成績、別に良くなかったんです。
何なら赤点だって取りました、今英語のプロとして仕事してると聞いたら同級生は驚くと思います。

そんな赤点まで取っちゃうような状態でアメリカに放り込まれて、大変苦労しました。
通じないし、聞き取れない。
そこからあがいて試行錯誤したおかげでレベルが上がって今に至るのですが、この時の経験のおかげであらゆるメソッドが生まれました。

今回はリスニング「聞くこと」についてお話しします。

英語のリスニングテストと、実際の会話はそれぞれ違う理由の難しさがあります。
まずリスニングテストですが、ちょっとテストの始まりを想像してみてください。

「今から会話文が流れます。その後に続く設問に答えてください。」

大体こんな感じで始まるじゃないですか。
あなたの人生でかつて、
「知らない場所で、知らない人が見当もつかない内容の話を始める状況」はありましたか?

これがリスニングテストの難しい点です。
英語を聞き取るだけでなく、限られた情報からその状況まで推理しないといけない。
実生活に置き換えて考えると極めて不自然な状況です。

だから私は常々、
「リスニングテストの点数が悪くてもあまり気にしないでください。
実際の会話は必ず、ここはどこで自分はなぜここにいて、相手は誰なのか分かってる状況でスタートします。相手の発言、反応を予想できるのが実際の会話です。」
と言っています。

相手がスーパーの店員なら、あなたにはスーパーに来た目的があり、話しかける用件があります。
相手が町中の外国人なら、相手の服装で旅行者ということが分かり、おそらく道を聞きたいんだろう、と予測がつきます。

実際の会話では予備情報まで活かしてコミュニケーションをとるので、
「相手の言ってること全ては聞き取れないけど、どこにケチャップがあるかは分かった」
は達成可能だし、目的を十分果たしています。

実際の会話の難しい点も話しておきましょう。
発音、話し方、スピード、クセ、ありとあらゆるバリエーションがあり、
中には非常に聞き取りにくい話し方をする人もいます。

あなたの周りにも、聞き取りにくい話し方をする日本人はいませんか?
親戚だったり、社内の人だったり、学校の先生だったり。
中には「言葉は分かるけど、この人は結局何を言いたいんだろう?」と感じるような、
常にもってまわった話し方をする人もいるでしょう。

これと同じことが英会話でも起きます。
私がアメリカの高校にいて、割と英語に慣れてきた頃に転校生が来ました。
そこは田舎で、彼は都会の方からやってきました。
私は早速話しかけてみたのですが、彼の英語が全く分かりませんでした。

困った私は精一杯、「歓迎するよ、俺たちはもう友達だ」と洋ドラみたいなことを言って、
彼は「お、おう」と戸惑っていました。

リスニングテストも英会話レッスンも、英語を話しているのはプロです。
話し方や発音に難がある人は基本採用されません。
実際に外国に行って初めて、「世の中にはこんなに聞き取りにくい英語が存在するのか」と驚くことになります。

リスニングテストと実際の会話の違いはこのように結論づけることができます。

リスニングテストはプロが収録しているので、
一言一句まで聞き取ることはある程度の努力で可能です。
しかし内容は予測がつかず、生徒を引っかけるために問題が作成されているので、
ちょっと聞き取れたくらいでは内容を誤解します。
相手に聞き返すこともできません。

実際の会話は、
個々人によって話し方、スピード、声の大きさが全く違い、
一言一句まで漏らさず聞き取れるようになるには途方もない時間が必要です。
しかし私たち日本人が、普段耳にする日本語全てを聞き取ろうとはしていないように、ネイティブも全ては聞き取っていません。
会話には必ず状況と人間関係があるため、
一言一句まで聞き取れなくても内容を理解することは十分可能です。
しかも分からなければ聞き返すことができます。

リスニングテストが得意だった、という人はその耳を活かして、
苦手だったという人は、耳だけでなく周りのヒントまでフル活用して会話にチャレンジしてみてください。
「英語喋れるようになった!」と言うために、100%聞き取れていることは必要ないんです。